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奄美の子ども達へ繋いでいきたい技術と知恵「奄美手熟師会子ども講習会」

執筆:たなかゆき(まーじんママライター)

いろいろなものに興味を示す7歳の息子が、夢中になって参加している「奄美手熟師(てじゅくし)会」の子ども講習会。みなさんは、ご存じでしょうか?

「奄美手熟師会」は、ものづくりの楽しさを伝えるために、さまざまな技術や知恵を持つ方々が集まり、2022年で30周年を迎える歴史ある会です。

「奄美手熟師会」が講師となり、奄美に住む子ども達に手熟(奄美の方言で、手に技を持つこと)を伝え、体験する機会を提供してくださる会が、「奄美手熟師会子ども講習会」です。

奄美の伝統的な文化や、特別な技術や知識に触れることができるなど、子どもにとって学びの多い体験の場「奄美手熟師会子ども講習会」。立ち上げメンバーの一人で、現在も子ども達を見守るコーディネーター役の有川清貴(ありかわ・きよたか)さんにお話をうかがいました。

30周年を迎える「奄美手熟師会

「奄美手熟師会」の始まりは、1992年。

当時の旧名瀬市役所(現在の奄美市役所)で、奄美群島復帰40周年の記念イベントを開催することになり、市役所職員の中から20名程の実行委員が選出されました。

有川さんは電算係という畑違いの課に所属していたにも関わらず、声がかかったそう。有川さんは多くの人脈があり、イベントの運営にはその人脈がぜひとも必要ということで、白羽の矢が立てられたようです。

(きれいに保管されている過去の新聞掲載記事や資料)

有川さんは、立ち上げメンバーとして、様々な分野の専門家を集めて、ものづくりの楽しさを伝えるという素晴らしいイベントを成功させました。

こんなに素晴らしい内容なのに、これで終わってはもったいない・・・。有川さんは自身が事務局となり、手熟師が集まる会「手熟師会」を続けて行こうと決意。市役所勤務を定年退職後も、約30年にわたり、取りまとめを行ってきました。

「素晴らしい技術を持った講師の方々が集まってくれた。自分自身も講師の先生たちがやっていることにとても興味があったし、何より、子ども達にこの貴重な技術や知恵を繫いでいかなければならないと思った。でも、自分自身が一番楽しんでやってるよ。」と、有川さん。

現在は「奄美手熟師会子ども講習会」のコーディネーターとして、参加する親子を年度始めに募り、参加者名簿や連絡網を作成。講師の先生方への講習依頼をしたり、講習会のスケジュールを立てています。

開催はだいたい月に1回で、講師の先生は交代で担当をしてくれます。

講習会の内容は、
・絵画教室(夜光貝に絵を描こう)
・マコモ茶作り
・磯の観察
・アダンの筆で絵を描こう
・苔玉作り
・黒糖作り体験
・移り変わる街の歴史や風景を探訪する「まち歩き」
・昔ながらのおもちゃ「ゴム鉄砲」作り
・風船と糸を使ったランプ作り
など、毎回さまざまで魅力的。

コーディネーターの有川さんが、講師の先生と子ども達を繋いでくれています。

子ども達の興味が広がる講習会

2021年度、初めて参加した私たち親子ですが、もの作りが大好きな息子は毎回開催をとても楽しみにしていて、「今度は何を教えてもらえるの?何がつくれるの?」と、興味津々。

2021年10月に開催された「マコモ茶作り」の会では、講師の藤井菊美(ふじい・きくみ)先生にマコモを知って、使ってみるという体験をさせていただきました。

はじめにマコモっていったい何?ということを知るために、マコモ畑を見に行きました。

それから、先生があらかじめ乾燥させていたマコモの葉を子ども達が切る作業を行い、最後に炒ってお茶を完成させます。

息子は、マコモの葉を切ってお茶にするという工程や、お茶としての風味を出すために土鍋で炒る様子に、「へぇ~~~」とびっくりしており、先生への質問も止まりませんでした。

頑張って作ったマコモ茶の味は少し苦手だったようですが、マコモを知った息子は、素焼きにして食べるのが大好きになって、マコモのシーズン中たくさん食べてくれました。

息子が体験を通じてどんな風に感じたり、行動をするのかなぁと、母親の私も楽しみながら一緒に参加しています。

2021年度最後の講習会は「磯の観察」と、今年度の修了式が行われました。この日は写真家の別府亮(べっぷ・りょう)さんを講師に迎え、多くの親子が集まりました。

帰宅後、息子に持たせていたカメラを見ると、先生に教えてもらった初めて見る生き物や、気になった岩をいろいろな角度で撮影してある観察写真が何十枚もありました。

海に行く機会は多いですが、なかなか「観察」をすることはなかったので、とても多くのことを学ぶことができたようです。

講習会の最後には、「奄美手熟師会」の会長である岬眞晃(みさき・しんこう)さんより、修了証が手渡されました。

修了証は、画家である岬さんの描かれたオリジナルのはがきセット。

そこには、「本講座は、自らの手で創り遊び楽しみ喜びを身に付けて欲しいとの想いで開催しています。これからも、手に技を・・・。」と書かれていました。

講師の先生方の、子ども達を思う気持ちがとてもうれしいですね。

経験から学べることを大切に

「昔はゲームもスマートフォンもなく、自分たちで遊びを見つけていた。その経験が大切だと思う。今の子ども達にもそんな経験をしてほしい。」

約30年もの間、「奄美手熟師会」そして子ども講習会を続け、次世代へと繋いでくれる有川さんの言葉が胸に残ります。

私たち親子も、経験することを大切に、楽しみながら参加したいと思います。

「奄美手熟師会子ども講習会」で、今しかできない貴重な経験をしてみませんか。

              

【基本情報】

奄美手熟師会子ども講習会
・問合せ先:090-6897-5024(有川さん)
・対象:奄美在住の幼児~高校生
・参加費:講座内容による(講座で使用する材料費など)
・開催:毎月1回程度
・開催場所:講座内容による

※毎年5月頃に地元新聞2社(奄美新聞、南海日日新聞)に募集を掲載。年度途中でも入会は可能。

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たなかゆき

奄美市名瀬出身。2017年に千葉県からUターンしてきました。好奇心旺盛で、工作や自然が好きな7歳の息子と、おしゃべりで食べることが大好きな4歳の娘と、今しか経験できないことを一緒に楽しんでいます。

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