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子どもの不登校に悩むパパママの駆け込み寺!「一歩の会」をご存知ですか? 

ライター:七菜子ママ(まーじんママライター)

(写真はイメージです)

子どもが学校に行けない。行くのがつらそう。教室に入ることができない。などなど…子育てに悩みは尽きないものですが、わが子の様子に気になるところが見られると、親としては心配になりますよね。

子どもがつらそうな姿を見て胸を痛めたり、他の子と同じようにできないことについ不安になってしまったり…1人で、または家族の中だけで悩みを抱えてしまっていませんか?

同じような悩みを持つ方々、または過去に同じような経験をされた方々と話をすることで気持ちが少し軽くなるかもしれません。

今回はお子さんが学校に行けないなど、子育ての悩みを抱えている奄美のパパママに向けて、同じような悩みを共有するために立ち上げられた「一歩の会」についてご紹介します。

「一歩の会」って?

「一歩の会」は、子育てに悩む保護者の会です。

次のような、子どもに関する悩みを抱える保護者の方が参加しています。

・子どもが学校に行くことができない
・教室に入ることができない
・集団に苦手意識がある
・様子が気になる
・過去に子どものことで悩んだり苦しんだりしたことがある

「自分の不安な気持ちや子どもを心配する思いを吐き出せる場所」として、平成25年度にスクールソーシャルワーカー(SSW)の先生と奄美小学校内にある「ふれあい学級」の保護者会の方々が一緒に立ち上げられました。

「一歩の会」という名前には「始まりは一歩から」「一歩ずつ進めばいい」という意味が込められているそうです。素敵ですよね。

もともとは任意団体として保護者が集まるサークル活動のような形で運営されていましたが、令和3年9月からはNPO法人として活動を始められています。

「一歩の会」は具体的にはどんな活動をしているの?

(定例会がおこなわれる場所(フリースクールMINE))

「一歩の会」では、月に1回、土曜日の午後2時〜4時に定例会(通称「親の会」)が開かれています。

場所は、奄美市名瀬伊津部勝(いつぶがち)のフリースクールMINE。(※感染症拡大により、オンラインでの開催になる場合もあります。)

会費は100円です。

フリースクールMINEとは、不登校などのお子さんに、心から安心できる居場所を提供している民間のフリースクールです。「どんな場所なのかな?」と気になる方はコラムをご覧ください。
■コラム:奄美市初の民間フリースクール「MINE(マイン)」ができました!

「一歩の会」にはどんな人が参加している?

現在の会員はおよそ15名(令和3年9月時点)で、主にお子さんの不登校に悩んでいる保護者が参加されています。

お子さんの年齢に関係なく参加でき、入会・退会も自由。

お子さんの成長や環境の変化と共に退会される方もいらっしゃるので、メンバーの入れ替わりもあるそうです。

「一歩の会」ではどんなことをするの?

「一歩の会」は、子育てに悩む保護者同士がふれあい、自他理解を進めることで子どもと向き合うためのエネルギーを得ることを目的としている会です。

「一歩の会」では、まずはじめに保護者がそれぞれの体験談や今抱えている悩みを話していきます。話したくないことは話さなくてもいいルールもあります。

必ずしも解決策が得られるわけではありませんが、ただ話を聞いてもらってスッキリしたり、人の話から気づきを得たりできるのだそう。

悩みに対して「そういうとき、うちはこうしたよ!」など、ほかの保護者の体験談から良いヒントがもらえることも。

お茶会のような気軽な雰囲気のため、息抜きに来られる方もいらっしゃるとか。

「不登校だけど学校への欠席連絡は毎朝しなければいけないの?」「給食費はどうなる?」など、その辺では気軽に聞けないような疑問や、“不登校あるある”も話題にあがるそうです。

似たような悩みや境遇を共有したり、寄り添ったりすることで「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」という気持ちになれそうですね。

自分たちと同じようなつらい思いをしてほしくないから〜代表 林さんの思い〜

取材の中で印象的だったのが、世話役の林さんは意識して失敗談を話すようにされているということ。

月に1回の定例会(親の会)において、世話役の林さんは、子どもとの関わり方について成功した例よりも失敗談を話すようにされているそうです。そこには、「一歩の会」立ち上げ当初からずっと変わらない、“自分たち親子と同じようなつらい思いをしてほしくない”という強い思いがあります。

子どもは多様ですから、ほかの人の成功例がわが子に合うとは限りません。うまくいかなかったときに落ち込んでしまうから、成功例だけでなく、失敗談も積極的に話すようにしているそうです。

たしかに、失敗談を聞いておけば、不要に子どもを傷つけたり、落ち込んだりせずにすむかもしれません。

現在は自分の人生を前向きに歩まれているという林さんのお子さんも、学校へ行けない時期があり、当時は親子でつらい思いをされたそうです。

当時を思い出して林さんは次のようにお話してくれました。

「家でゴロゴロしているのを見たら、つい“ゴロゴロしているなら家のことを手伝って”とか“元気なら学校に行きなさい”と言いたくなってしまうけれど、その声かけは良くなかった。まずは安心してしっかりと休む時間をとることが必要だった。」

取材をしながら、そんなふうに昔の失敗を思い出して話をされるのは、また胸が痛むのではないか…?と少し心配になりましたが、「それよりも自分たち親子と同じようなつらい思いをしてほしくないから」とおっしゃる林さんのお言葉に、強い信念と優しさを感じました。

(「一歩の会」の林 花穂さん)

学校は休んでもいい〜「学校復帰」よりも「社会的自立」を目指して〜

「学校へ行くこと」よりももっと大事なことは「子どもが安心して生きられること。」

頭ではわかっていても、周りの子たちが学校へ行っているのを見ると、同じように学校へ行っていないわが子がつい心配になってしまいますよね。

親の焦りから出た一言で子どもを不要に傷つけてしまうことも少なくないでしょう。

これまでは子どもが不登校になったとき、「どうしたらまた学校へ行けるようになるか」と“学校復帰”を前提として対策をとることがほとんどでした。

しかし「一歩の会」では「教育機会確保法」に基づいて「つらいときは学校を休んでもいい」「家庭やフリースクールなど学校以外の多様な場で学んでいい」という考え方を採用しています。

「絶対に子どもを学校復帰させたい!」と考えて接すると、学校という場所が合わないお子さんにとっては負担になってしまうかもしれませんし、保護者側も思うようにいかないことに焦ったり落ち込んだりしてしまいますよね。

今はどこにも行きたくないと思うなら、今その子にとっては自宅が1番安心できる場所。心や体が休養を必要としている子どもたちが安心して休めるような場所(家)を守ってあげることが大切です。そうすることで次第に次のステップを考え出す子もいるそうです。

(教育機会確保法についてのパンフレット)

「一歩の会」に参加されている方の感想や変化は?

以前、初めて定例会(親の会)に来られた方がこんなご感想を話されていたそうです。

「この会に参加してなかったらいつまでも1人で孤独に悩んでいたと思う。会があることを知って参加したことが本当に良かったと思う。」

自分と同じような悩みを持つ仲間の中だからこそ言えることってありますよね。

朝、学校に「休ませます」と電話を入れる。たった10秒ほどの出来事ですが、その10秒がどれほど心の負担になるか、同じような経験をしたことのある方なら気持ちを理解しやすいでしょう。

「そうだよね、あれはしんどいよね。」とわかってくれる人がいる場所、それが「一歩の会」です。

1人で抱えるには重い悩みも、みんなで分かち合えば少しは軽くなる。共感してくれる人がいることで、心が救われる。

1回きりの参加だと、定例会の帰り道では「もう大丈夫」と思っていても、やはり数日後、1週間後、近所の子どもたちが学校へ行っている姿を目の当たりにすると学校へ行くことが正解のように思えてきてつい不安になってしまうものです。

「わが子が安心して生きていてくれることが何より」という大事なことを見失わないためにも、定期的に同じ悩みを持つ方々と会う機会を持つことはとても効果的だと思います。

「一歩の会」で不安な気持ちを吐き出し、「1人じゃない、大丈夫」と安心する。大切なのはわが子が生きていく力をつけていくことだと再確認し、学校へ行けない子どもを丸ごと受け入れるどっしりとした心の土台を作っていく。

それを繰り返していくことで、お子さんとの関係や保護者やお子さん自身にも変化が見られ「今度こそ、もう大丈夫」と「一歩の会」を退会していかれるそうです。

もっと詳しく活動の内容について知りたいという方は「一歩の会」のブログをご覧ください。奄美☆一歩の会

まずは“一歩”踏み出してみよう!

私自身、いつか子どもに関する悩みで押しつぶされそうになったときには、「一歩の会」のような悩みを相談できる場が利用できると知り、とても安心できました。

「一歩の会」で話したことはその場限りで、外に漏れることはありません。アットホームな場で、これまで誰にも言えなかった思い、心の奥にひっかかっている思いを吐き出してみませんか?

ご興味のある方、少しお話を聞いてみたいという方は、世話役の林さんへ電話、またはメールにてお問い合わせください。相談は随時受け付けていらっしゃるそうです。

安心して、最初の“一歩”を踏み出してみてください。

「うちの子、このままで大丈夫かな…?」「どう声をかけたらいいかわからない…」と不安で押しつぶされそうになっているパパママ、助けを必要としている方へ、この記事が届きますように。

【基本情報】

一歩の会

【世話役】林 花穂(はやし かすい)さん
【連絡先】090-5287-6115
【メールアドレス】amami.ippo@gmail.com
【ブログ】https://amamiippo.amamin.jp/

■フリースクールMINEについてのコラムはこちらから

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七菜子ママ

夫の転勤により令和元年7月から奄美大島での暮らしがスタート。 普段はライター業をしながら、自分らしい生き方・働き方を目指す女性のサポートもしています。毎日綺麗な海を見ながら子育てができる日々が最高に幸せです。

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