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パパママコラム ときどきケンムン

奄美市初の民間フリースクール「MINE(マイン)」ができました!

ライター:七菜子ママ(まーじんママライター)

(子どもが自分たちで作った看板)

もし、自分の子どもが「学校に行きたくない」と言ったら…。

できるなら、わが子には楽しく学校へ通ってもらいたい、そう願う保護者の方は多いと思います。しかし1人ひとり個性がある子どもたち。全員が全員、学校という場所が合うとは限りません。

学校へ行けなくなったとき、「本当は勉強したいのに…」そんな気持ちを抱えたまま自宅で思い悩むより、子どもに合った場所でのびのびと笑顔でいられるなら、その方が何倍もいいと思いませんか?

これまでは、学校に行く・行かないの2択しかなかった奄美にも“フリースクール”という新しい選択肢ができました。

その名も、フリースクールMINE(マイン)。MINEの想いや活動内容について取材しました。

「学校に行かなきゃ(行かせなきゃ)いけない」という思い込みで自分を苦しめている子どもやそのパパママたちの心が少しでも軽くなりますように…。

(写真はイメージです)

つらいとき、子どもが本当に望んでいることとは…。

これまで親の会(※)を通して“学校へ行けなくなった子どもたち”を見てきた、フリースクールMINE(マイン)代表の林さんに、お話をうかがいました。

(※)親の会とは…子育てに悩む保護者の会「一歩の会」。「一歩の会」についてのコラムはこちらからご覧ください。
■コラム:子どもの不登校に悩むパパママの駆け込み寺!「一歩の会」をご存知ですか?

「学校へ行けなくなってしまった子は今までの負の積み重ねもあり、いろいろなことに自信が持てなくなっている場合が少なくありません。

まずは安心できる場所で、心と体をゆっくり休めること。ソファにゴロンと寝転びながらのんびり好きなことをする、その時間が大切だったりするのです。

自分がやりたいと思ったことを否定されずに安心してできる経験を繰り返すことで、心と体は少しずつ元気になります。

元気を取り戻すと、「あれもしてみようかな?」「これもしてみようかな?」と生きる気力が湧いてきます。」

私たち大人にできることは、子どもが安心して自分の意思を伝えられる、自分の本当にやりたいことができる環境を作ってあげることなのかもしれません。

(フリースクールMINE 代表の林 花穂さん)

学校へ行く・行かない以外の新しい選択肢であるフリースクール

心から安心できる、安全な居場所でゆっくり体と心を休めたなら、子どもは少しずつ元気になり、また動き出したい気持ちや学びたいという意欲が湧いてきます。

「でも、学校に行くのはちょっと…」というそんな奄美の子どもたちのために、令和3年9月より、民間で初めてのフリースクール「MINE(マイン)」がオープンしました。

子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、なんとかして行かせるのか、それとも休ませるのかの2択しかなかったところに、新しい選択肢ができたのです。

子どもは多様ですから、その子に合った学び、その子に合った環境、それを選べる自由、それを選ぶという自己決定が何より大事ではないかとフリースクールMINEの代表 林さんはおっしゃいます。

MINEの理念は次の三つ。

・子どもが安心して自分と向き合い、元気になれる。
・興味を大事にできる。
・自己選択、自己決定ができる。

MINEでは、大人の“良かれ”で動かず、子ども自身の気持ちを尊重することを大事にされています。

(“おばあちゃんち”のような安心感がある室内。ここでボードゲームなどをします。)

フリースクールMINEで過ごす子どもの1日

MINEの開所日は、現在は月曜・水曜の週2回。日中の過ごし方や通う頻度などは、利用者である子ども自身が決めることになっています。

フリースクールMINEでの過ごし方の一例をご紹介しますね。

【午前9時〜:自分の時間】
ゲームや読書、お絵かきなど自分の好きなことや勉強をします。

【午前11時〜:昼食作り】
昼食のおかず1品をみんなで作ります。手伝いたい人だけが手伝い、決して強制はしません。

【正午:昼食】
主食となるご飯やおにぎりは、それぞれ自宅から持ってきてもらいます。MINEで出るおかずは1品なので、足りない人は追加で持ってきても良いそうです。

カレーや豚汁、パンケーキを作ることもあるんだとか。自分たちで作ったご飯はきっと美味しいですね。

【午後~:自分の時間】
それぞれ好きなことをしたり、勉強したりします。

ほかにもおやつの時間があったり、遠足や図書館の日もあったりするそうです。楽しそうですね。

(みんなでお昼ご飯を作るキッチン)
(のんびりと本や漫画を読めるソファもあります)

フリースクールは学校の代わりじゃない

つい勘違いしてしまいがちですが、フリースクールは学校の代わりではないので、授業など学校と同じことはしません。

MINEで大事にされていることは、まずは気力をためること。勉強をするためには、気力が必要です。体と心を休ませ、好きなことをして、生きる気力がたまったら、やっと「学びたい」という意欲が湧いてきます。

MINEのスタッフは、不登校経験者や、子どもが学校へ行けないなどの悩みを持ったことのある保護者、約10名。

スタッフも先生ではなく、少し年上の“友達”という感覚で接してもらえるように愛称で呼ぶようにされているそうです。

また、フリースクールMINEでは“体験の中に学びがある”と考え、「AMAMI.MUJIN」という無人書店の一角に出す本を選んだり、本を紹介するポップやしおりを作ったりする「ブックオーナー会議」がある日も。(AMAMI MUJIN インスタグラム

ものづくりの日はキャンドルホルダーや編み物、粘土細工などを製作しているそうです。

月に1度の「わくわく会議の日」は子どもたちだけで会議をします。「子どもを信じて任せる、大人はサポート役」という考えを取り入れています。

いずれは体験型イベントや他県のフリースクールとの交流等の単発プログラムも計画しているとか。子どもたちもいろいろな経験ができそうですね。

(子ども達が自分で描いた絵を使ってサンゴやシーグラスで写真立て作り)

フリースクールMINEに通う子どもたちの変化

取材当時(令和3年9月中旬)は、まだオープンして間もない頃。

子どもたちもみんな“様子見”なところがあり、「何かしよう」となったときは自然に全員が参加する雰囲気になっていたそうですが、「ゆくゆくは、みんなが集まって何かしていても自分は1人で本を読みたいと言えるくらいマイペースに過ごしてもらいたい。」と代表の林さん。

「自分はこれがしたい」と安心して言える環境づくり、それを否定されない経験を積み重ねてもらうことを大事にされています。

(置いてある本や漫画は自由に読むことができます)

また、子どもによっては1日の中で変化が見られた子も。

朝はずっとうつむいて恥ずかしそうにしていた子が、午後にはおやつを食べてニコッと嬉しそうな顔を見せてくれた場面もあったそうです。想像したら、胸が熱くなりました。

本当は誰かと一緒に遊びたい。話がしたい。

フリースクールMINEでは、何でも好きなものを持ってきてよいことになっています。タブレットやゲーム機、スケッチブックといったもののほかに、ボードゲームなど“誰かと一緒にできそうなもの”を持ってくる子が多いとか。

「これを持っていったら、みんなとできるかな?話しかけやすいかな?」そんな思いがあってのことでしょう。本当は家で一人で過ごすより、誰かと一緒に遊びたい、誰かと話がしたいと思っている子は多いのかもしれません。

(この部屋でゲームをすることもあるそうです)

学校は休んでもいい〜教育機会確保法をご存知ですか?〜

子どもが学校へ行けなくなったとき、これまではとにかく“学校復帰”を目指すことが前提とされてきました。

しかしフリースクールMINEでは、「教育機会確保法」に基づき、“つらいときは学校を休んでもいい”、“学校以外にも1人ひとりに合った多様な学びの場を選択できることが大切”という考え方で不登校支援を行っています。

《教育機会確保法のポイント5つ》

1.休養の必要性(つらいときは学校を休んでもいい)
2.不登校は問題行動ではない
3.「学校復帰」ではなく「社会的自立」が目標
4.学校以外にも1人ひとりに合った居場所・学習環境(家庭やフリースクール等)を確保することが大切
5.子どもや親への必要な情報提供(フリースクール・親の会の紹介等)

(教育機会確保法のパンフレット)

この法律を知ることで、だいぶ心が軽くなる子どもや保護者が多いのではないかと思います。またMINEはフリースクールの全国ネットワークに所属しており、具体的な関わり方や進路についてどう考えるかなど、全国の取り組みや情報も提供しています。

大事なのは子どもが安心して過ごせること。子どもの命と笑顔が何よりも大切ですよね。

フリースクールMINEの見学・ご相談はお気軽に!

フリースクールMINEの利用のための見学・相談は随時受付中です。

平日は月・水曜日の午後4時以降、土曜日は予定が無ければ可能なのでお問い合わせください。

見学に関する注意点は以下の通りです。

・見学の時間は約60分、分散でのご案内です。
・検温、消毒の徹底にご協力をお願いします。
・検温で37.0℃以上の熱が出た場合は日を改めてご見学ください。
・1日利用の際は昼食持参(おかずは1品出ます)。
・好きなもの(本やゲーム、タブレットなど)や学校の課題も持ち込み可能。
・マスクの着用をお願いします。

人が少ない時間をご希望の場合など、ご希望に添えるよう対応いたします。まずは電話・メール・HPより代表 林さんへお問い合わせください。

子どもたちが笑顔で生きていてくれることが1番!

学校という場所は自分に合わないけれど、本当は学びたいし、誰かと一緒に話したい、遊びたい、もっと何かしたい。そんな思いを抱えながら家で過ごしていた子どもたちにとって、このフリースクールMINE(マイン)は新たな選択肢の一つとなるでしょう。

自分のやりたいことを否定されない安心・安全な環境でのびのびと過ごす時間は、子どもたちの心を癒やし、豊かに育み、また自分を信じる力がつくのではないかと感じました。

私も1人の娘を育てる親として、いつかわが子が「学校に行きたくない」と言ったら「行かなくていいよ」と即答できる自分でありたいという理想はありながらも、いざそのときが来たら本当にできるのか自信がありませんでした。

けれども、フリースクールMINEというこんなにもあったかい場所があるなら、「じゃあフリースクールへ見学に行ってみる?」と穏やかな気持ちで新しい選択肢を提案してあげられそうです。

「奄美にもMINEというフリースクールが“在る”ということ。そこには、大切なわが子の気持ちを第一に考えてくれる、信頼できる人たちがいるということ。」

それを知っておくだけで、ずいぶん心強いものです。

今、お子さんが学校に行けなくてつらい思いをされているなら、1度見学に行かれてみてはいかがでしょうか?

どうか、助けを必要としている方のもとへこの記事が届きますように。

【基本情報】

フリースクールMINE(マイン)

【代表】林 花穂(はやし かすい)さん
【連絡先】090-5287-6115 (代表 林さん)
【住所】奄美市名瀬大字伊津部勝(いつぶがち)172番
※駐車場は、近くの空き地を借りています。お問い合わせ時にご案内します。
【メールアドレス】freeschoolmine262@gmail.com
【ブログ】https://freeschoolmine.amamin.jp/
【HP】https://amami-ippo.jimdofree.com

開所日:当面は毎週月曜・水曜の2回(スタッフが2名以上常駐)
時間:午前9時〜午後3時頃まで
対象:小学生、中学生、通信制高校生
月謝登録制
登録料:3,000円
月謝:週に1回の利用10,000円、週に2回の利用16,000円

■子育てに悩む保護者の会「一歩の会」についてのコラムはこちらから。

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七菜子ママ

夫の転勤により令和元年7月から奄美大島での暮らしがスタート。 普段はライター業をしながら、自分らしい生き方・働き方を目指す女性のサポートもしています。毎日綺麗な海を見ながら子育てができる日々が最高に幸せです。

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